相続相談Consultation

1.相続時の不動産売却で発生する税金とは?


(1)印紙税

不動産を売却する際売買契約書を取り交わすことになりますが、その際に掛かる税金が印紙税になります。


契約金額 本則税額 軽減税額
500万円を超え1,000万円以下 1万円 5千円
1,000万円を超え5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円を超え1億円以下 6万円 3万円
1億円を超え5億円以下 10万円 6万円
5億円を超え10億円以下 20万円 16万円



(2)譲渡所得税

不動産を売却した際に売却益が出たら譲渡所得税の課税対象となります。


・長期譲渡所得
→ 不動産を購入してから売却した年の1月1日までの所得期間が5年を超える場合

・短期譲渡所得
→ 不動産を購入してから売却した年の1月1日までの所得期間が5年以内の場合

譲渡所得の種類 税率 税率の内訳
長期譲渡所得 20.315% 所得税:15%
住民税:5%
復興特別所得税:0.315%
短期譲渡所得 39.630% 所得税:30%
住民税:9%
復興特別所得税:0.630%.



(3)登録免許税

登記手続きの際には、登録免許税がかかります。 相続登記の場合、基本的に土地の所有権の移転であれば、土地の価額の0.4%が登記免許税の税率です。 ただし、相続登記では亡くなった人に本来移転するはずだった登記がまだ行われていなかった、というケースが多くあります。 例えば、父親が亡くなったので、息子に相続登記をしたいという場合に、実は相続する土地や建物の名義がすでに亡くなっている祖父のままだった、というケースです。 この場合は、いったん祖父から亡くなった父親に登記を移して、さらに息子へ相続登記をする、という手順をふみますが、祖父から父親への登記に関しては令和3年3月31日まで登録免許税は免税措置が取られることになっています。 このように、それぞれの相続ケースによって登録免許税に関する計算も変わってくるので、相続財産の調査段階でどのような財産があるのか、登記の状態はどうなっているのかなどを細かく検証する必要があるでしょう。









2.不動産売却お費用を節税する方法は?


(1)相続税の取得費加算の特例とは

相続税の取得費加算の特例により、不動産の取得費に相続税の一部を加算することによって、譲渡益を抑えることができます。
結果として、税金の軽減につながります。


特例を受けるための要件

特例を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。


・その財産を取得した者が相続税を払ったこと。
・相続によって財産を取得した者が売却したこと。
・相続開始の翌日から10カ月以内に売却したこと。



計算方法

「相続税の取得費可さんの特例」とは、相続の際に支払った相続税額のうち一定の金額を、譲渡所得を計算する際の「所得費」に加算できるという特例です。
相続税の所得費加算額は、下記の式で算出できます。

合同会社 八嶋アセット|相続相談

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相続税の取得費加算の特例については、詳しくは国税庁のホームページにある「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」をご参照ください。




(2)3000万円特別控除とは

不動産譲渡取得税については、3000万円までの売却益をなかったことにしてくれる「特別控除の特例」というものがあります。
この特例では、マイホームなどの売却に際して、買換えの有無や所有期間の長さに関わらず適用を受けることが可能です。相続の場合には「相続空き家の売却」であっても、この特例の適用を受けることができます。

通常の不動産売却の要件と基本的に共通しているので、詳しくは国税庁のホームページにある「マイホームを売った時の特例」をご参照ください。


相続空き家を売却する場合の要件

①相続(遺贈)によって住居や土地を相続した者である
②相続開始のあった日以後、3年経過する日の属する年の12月31日までに売却した物件であること。
③相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋であること。
④昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること。
⑤マンション以外の家屋であること。
⑥相続開始直前においてその被相続人以外に居住していた者がいなかったこと。
⑦相続のときから譲渡のときまで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていなかったこと。
なお、家屋等を取り壊したのちに売却する場合は、さらに以下の2つの要件が加わります。
⑧相続のときから取壊しのときまで、事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていなかったこと。
⑨土地が相続のときから譲渡のときまで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていなかったこと。



計算方法

3000万円の譲渡所得上の特別控除は、次の計算式で算出した譲渡所得がマイナスであれば所得税が発生しないことになります。

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相続物件の売却では、この計算式で行う「取得費」が問題です。 何世代も前に取得した物件などでは、売買契約書などが残っていないケースお多々あります。 その場合は、譲渡価額の5%「概算取得費」という数値を使って計算することいなります。 物件の規模によってはこの「概算取得費」が低額となるために譲渡価額が大きくなってしまうことがあるので、効果的な節税につなげるには3000万円の特別控除などをうまく利用することが大きなポイントとなるでしょう。 相続不動産の場合は居住年数が10年超の物件が多くなりますが、10年超所有軽減税率の特例の適用を受けれます。 この場合、譲渡売却益のうち6000万円以下だと、譲渡所得×14.21%、 6000万円超で20.315%になります。 ※平成25年から令和19年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税が加算されています。 被相続人が所有していた期間と相続人が所有していた期間を合算することもでき、さらに先ほど説明した 「3000万円の特例控除」と併用することも可能です。